かいとのへや

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ちまちまと投資しながら生きている社会人の雑記ブログです。

不可知性の世界とは何か?「コロナ後の世界」

コロナという社会的、経済的に大きなターニングポイントにおいて各人は何を考えるのだろうか。本作では各分野の教授が感染拡大後を起点としてどのような社会問題があるかを論じています。大学で普段教えられている方が書かれているだけあって用語は意外と専門的ですが、噛み砕いて読めば何かしらヒントは掴めそうな気がしました。

 

私が特におもしろいなと思ったのが不可知性という概念です。「不可知性の雲」という14世紀に書かれたキリスト教の本の印象しかなかったので、宗教的な概念だとずっと思ってきましたが、本書で再定義されていて自分の中にストンと落ちてきました。

不可知性とはリスクであることに加え、ウイルスのように随時変異するために化学の枠組みでは捉えきれないものを指します。筆者はウイルスだけではなくAIも不可知性を含んでいると指摘します。

AIの活用に当たる問題でディープラーニングの過程が見えないことがよく挙げられます。AIのおかげで「台風が来る確率が高い」のは分かってもそれが何故かは分からないということですね。この問題はAIが正常に作動している間はいいものの、誤作動を起こした際に何が予兆だったのか、再発防止の対策は何なのかがわかりにくいことかと思います。

この不可知性を起点として不透明な世界に対する対策として個人か連帯かを筆者は提示します。グラデーションはあるにせよ個人か連帯かを各国政府が選択する必要があるというのです。

個人的には不透明さを解明するためには連帯が不可欠なのかと思いました。不可知性の中の随時変化するという部分がミソで、そうした変化に対応するためには個人の力では設備も能力も限界がありそうな気がしました。

 

12人の教授が執筆している本作は不可知性以外にも食肉問題、経済問題、医療分野から見たワクチン、政治的な課題、日本が直面する課題など様々な観点が吸収できるお得な一冊ですので、ぜひ読んでみてください!