かいとのへや

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東京のお出かけと国内旅行中心の雑記ブログです。

「ざっくり分かるファイナンス」若手社員が経営センスを磨く意義とは



1. 本の概要

「ザックリ分かるファイナンス

2. 内容紹介と感想

表題の通り、ファイナンスを一度でも勉強している方なら出会ったことがある単語が多く、初心者にも読みやすい本でした。仕事でバラバラと得たファイナンスの知識を体系的に得ることができました。

ファイナンスとは資金を調達→投資→運用→リターンを出すという流れです。おそらく事業会社だと「運用」の部分に頭を悩ませることが多いのではないでしょうか。本書ではどちらかというと「調達」と「投資」の部分に焦点が当てられていたという印象です。

①調達

まず「調達」では調達コストの説明がありました。ここで印象的だったのはキャッシュフロー上のコストとファイナンスで認識するコストにズレがあることです。

資本の調達方法には間接金融(債権など)と直接金融(株式など)があります。通常、間接金融では利子が生じるので、コストとして認識されやすく直接金融はコストとして認識されない傾向にあります。

実際には間接金融では負債に対する利払いが課税対象金額を少なくするので、実際の利払いよりもコストは低くなり、直接金融では配当や株価の値上がりにコミットするための資本コストが生じます。

ところが株価の値上がりは企業から直接キャッシュとして外に出るわけではないので、企業内部では認識しにくい状態です。

そこで出てくるのが株式と債権の加重平均コストで運用資金を取得するコストを表そうという仕組みです。ここで重要なのがWACCが企業の安定性によって上下すること。

安定している企業であれば投資するリスクが減るので、投資家はそこまでリターンに固執しません。一方、高いリスクを取っていれば当然高いリターンが望まれます。したがって投資家に安定した企業だと思わせることが資本調達コストを下げることに直結するのです。

②投資

投資は現在価値と将来価値と価値の算定方法のお話だったので、私は取り立ててピックアップできるところがありませんでした。(もちろん実際に作業するときは公式とか忘れたので、お世話になるかと思いますが、概念は理解しました。)

3. 仕事で活せそうな場面

① 損益管理指標の1つとして

社内で利益を見る際、売上高、限界利益、粗利、営業損益、経常損益などの管理会計的な視点から見ることが多いかと思います。そこで社内で確認する収益性指標の中に財務的な視点を取り入れてみることが考えられそうです。

財務的な指標を取り入れるメリットは投下資本に対する営業効率が分かること。特に他社との差別化が難しいコモディティ商品に使われることが多いです。一方で資本コストの計算が煩雑であることから日本企業では4割程度が使用しているそうです。(下記、参考参照)

EVA(経済的付加価値)=支払利息控除前税引後利益-資本コスト額

IRR(事業の収益率)とWACC(コスト)の比較

②投資計画の資料作成

これは言うまでもないですね。IRRやNPV、回収期間法など投資前に採算性のチェックに必要です。

③外部発信の際の心構え

企業から外部に情報発信する目的は様々ですが、ファイナンスの観点からすれば安定した企業だと思ってもらうことで、リスクプレミアムを下げるということが第一目的です。若手社員でも外部発信に何らかの形で関わっている場合は安定した企業だと思ってもらえるようにファイナンスの知識を役立てることができそうだと思いました。

4. 最後に

IR責任者はリスクプレミアムの低減に寄与すべきという主張に目が覚めた思いだった。IRはコーポレートコミュニケーションとして営業的な意味合いが強いという印象だったためだ。特にいい結果であっても株式市場へのサプライズは良くないことが驚きだった。

また株主還元の方法の1つに自社株買いがありますが、それがもたらす市場へのシグナルについて言及されていたのもおもしろかったです。次回は企業の行動がどのように株式市場に受け止められるかまとめた本を読んでみたいと思います。

参考:

森 浩気「日本企業における EVA の機能と課題」