かいとのへや

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ちまちまと投資しながら生きている社会人の雑記ブログです。

「悪の正体」(佐藤優)を読んだ感想

日頃仕事をしていると自分の思い通りに行かないことが多く、つい他人のせいにしてしまうことが増えているなと感じました。また労働環境改善のために原因だと思ったことを改善してみてもまた別の問題が上がってくることもあり、何が間違っていることなのかと疑問がふくらんでいました。そんなときに図書館で悩みを解決できそうなタイトルを見つけたので読んでみました!

 

本書は外交官である佐藤優さんが書かれており、「悪」に対応するために必要な心構えを説いています。筆者が神学部出身ということもあり、キリスト教的な「悪」という観点から話が進みます。

仏教的な悪は「不利益な結果を起こす要因となるもの」ですが、キリスト教的な悪の解釈は様々あります。その中で本書で言及されていた悪は「人と人との関係から出てくる悪」だと私は解釈しました。

キリスト教の原罪はアダムとイブが知恵の果実を食べたときから始まったとされています。必然的にアダムとイブの子孫である私たち人間の中には「悪」が眠っているので、自分が他者へ「悪」をすることにも他者から与えられる「悪」にも注意する必要があります。性悪説的なお話ですね。

さて自分から発生する「悪」を止めるためには自分の行動を律し、他人を利用しようとする利己的な心を無くせばいいだけです。一方で、他者から与えられる「悪」にはどう対応するのでしょうか。

まず自分が対抗できるような「悪」には耳を貸さないことが一番です。自律的な思考能力を高めて他者の話を信じすぎないようにすること、特に資本主義では金銭にまつわる欲望が社会を回しているので、お金が絡む話は注意することが肝要とのことでした。

ここまでは自分でも何か対策ができるような気がしますが、対抗が難しいのは構造的な「悪」でしょう。筆者はこれに対して明確に回避する手段を明示しておらず、不条理にあったときに後悔しない生き方をするという信念だと私は解釈しました。

 

当たり前のことかもしれませんが、結局は自分がどれだけ知識を持っているかで「悪」に対する対抗方法が変わってくるので知識を入れることが大事だと思いました。やるだけやってそれでも不条理に貶められたときは諦めも必要かなと思います。